むぎのことは?

理事長の挨拶

理事長 北川 聡子

理事長 北川 聡子

今から36年前、自閉症の子どもや障害のある子どもたちとの出会いからむぎのこが、始まりました。
彼らの他害や自傷の激しさの内面にある悲しみや周りを見る目の賢さ純粋さを感じてしまったのです。
そのころは今のように自閉症の方々への支援方向が明確ではなく、
大人になった自閉症の方々にどう対応していいのか施設の方々も悩んでおられました。
そこで幼児期からの療育が大人になってからの生活にも影響するのではないかと思い、
知恵も力もなかった学生だったにもかかわらず、
毎日通園できる療育の場が必要ではないかと思い、立ち上げることにしたのです。
13年間の無認可時代があり、認可から24年になりました。

でもむぎのこの営みの在り方は31年間変わりません。
それは、子どもに困り感があったら、サービスがなくても、みんなで協力しあう助け合いの精神です。
シュートステイのない時代は、職員やお母さんが子どもを連れて帰ってくれました。
今はショートステイだけではなく、ファミリーホームで、子どもを育てる場が出来ています。
今もその精神は、いろいろなところで大切にされています。

サンフランシスコで、車椅子に乗っていたベスとの出会いも大きかったです。
「私は療育を受けるたびに自尊心が下がったのよ。」と語ってくれたのです。
「エッ、子どものためにと思っていた療育も、本人は辛かっただけ?!」
療育は、障害を治す発想で、ベスたちは自分を否定されたというのです。
ベスとの出会いは、障害を治すのではなく、障害のある子どもそのものを子どもとして肯定していくことが大切で、
療育は、子どもの未来や生活全体を考えて、少しでも暮らしやすくなるためにあるのだということを教えられました。
人生の主人公は本人なのです。ベスから支援への恐れと謙虚さを学びました。
ベスを始めいろいろな人の出会いでがあり、多くの人に助けられ今があります。

時代は新しい次の時代に来ています。
若いスタッフと一緒に、障害のある子どもや困り感のある子ども、利用者さん家族に寄り添い、
彼らの困り感を理解し、内面のすばらしさを日々発見して、どうしたらいいのか一生懸命考えて、
一人ではできない仕事である福祉の仕事を良いコミュニケーションで創り上げ、
障害があるなしにかかわらず、同じ時代を共に生きる同じ人間としてリスペクトしあい、
これからもみんなが幸せを感じる日を夢見て、時代を切り開いていきたいと思います。